街中や公園、田んぼなどで見かける黒い鳥といえば、カラスです。
どのカラスも同じように見えるかもしれませんが、私たちの身近でよく見られるのは、主に次の2種類です。
- ハシブトガラス
- ハシボソガラス
名前のとおり、分かりやすい違いはくちばしの太さです。
しかし、よく観察すると、頭の形や鳴き声、暮らしている場所にも違いがあります。
この記事では、ハシブトガラスとハシボソガラスがどのような鳥なのか、それぞれの特徴と簡単な見分け方を紹介します。
身近でよく見るカラスは主に2種類
日本にカラスが2種類しかいないわけではありません。
環境省では、一般に「カラス」と呼ばれる鳥は、主にハシブトガラスとハシボソガラスと説明しています。街や住宅地、公園、田畑などで見かける大きな黒いカラスの多くが、この2種類です。
どちらも全身が黒く、姿もよく似ています。
それでも、ハシブトガラスは森林や市街地など幅広い場所で見られ、ハシボソガラスは田畑や河川敷などの開けた環境を好む傾向があります。
見かけた場所だけで断定はできませんが、くちばしや頭の形、鳴き声と合わせれば見分けやすくなります。
ハシブトガラスとはどんなカラス?

ハシブトガラスは、街中や公園などでよく見かける大型のカラスです。
全長は約56.5~57cm。全身は黒く、光の当たり方によって青紫色の光沢が見えることもあります。ハシボソガラスより平均的には少し大きな種類です。
街中や森林など幅広い場所で暮らす
ハシブトガラスは、もともと森林性のカラスです。
現在は森林だけでなく、市街地や公園、農耕地、海岸など、さまざまな環境で見られます。
都会には公園の木や街路樹、電柱、建物などがあります。こうした立体的な環境を利用できるため、都市の中にも適応して暮らしています。都会で増えてきたカラスも、主にハシブトガラスです。
ただし、街中にいるカラスがすべてハシブトガラスというわけではありません。住宅地や公園でハシボソガラスが見られることもあります。
太いくちばしと盛り上がったおでこが特徴
ハシブトガラスの「ハシブト」は、くちばしが太いことに由来します。
横から見ると、くちばしが太く、上側が大きく湾曲しています。
くちばしの付け根と額の間には段差があり、おでこが前に盛り上がって見えるのも特徴です。頭全体も丸く、がっしりとした印象があります。
体の大きさは距離や個体差によって分かりにくいため、見分けるときは、まず横顔を確認してみましょう。
「カァー」と澄んだ声で鳴く
ハシブトガラスは、よく通る「カァー、カァー」という澄んだ声で鳴くことが多いカラスです。
鳴くときには喉を膨らませ、頭を前へ突き出すような姿勢を取ります。
ただし、鳴き声は一種類ではありません。「アー」「アワッ」といった声や、濁った声を出すこともあるため、声だけで種類を決めるのは難しい場合があります。
くちばしやおでこの形も一緒に見ると、判断しやすくなります。
雑食性でさまざまなものを食べる
ハシブトガラスは雑食性です。
昆虫や果実、穀物、カエルやトカゲなどの小動物、鳥の卵やヒナ、動物の死骸、残飯など、さまざまなものを食べます。市街地では、人が出した生ゴミを利用する姿も見られます。
特定の食べ物だけに頼らず、その場所で手に入るものを利用できることも、幅広い環境で暮らせる理由のひとつです。
ハシボソガラスとはどんなカラス?

ハシボソガラスは、田んぼや畑、河川敷などでよく見かけるカラスです。
全長は約50cm。ハシブトガラスより平均的には少し小さく、細めのくちばしとなだらかな頭の形をしています。
田畑や河川敷などの開けた場所を好む
ハシボソガラスは、農耕地や草地、河川敷など、周囲を見渡しやすい開けた環境を好みます。
田んぼのあぜ道や耕した畑を歩きながら、地面にいる昆虫や落ちている食べ物を探す姿もよく見られます。
ただし、ハシボソガラスが暮らすのは郊外だけではありません。市街地や住宅地に入ってくることもあり、ハシブトガラスと同じ場所で見られる場合もあります。
細めのくちばしとなだらかなおでこが特徴
ハシボソガラスのくちばしは、ハシブトガラスより細く、上側の湾曲も緩やかです。
くちばしの付け根から頭にかけての段差が少なく、おでこから頭頂部までがなだらかに続いて見えます。
横から見ると、
- ハシブトガラスは、太いくちばしと盛り上がったおでこ
- ハシボソガラスは、細めのくちばしとなだらかなおでこ
という違いが分かりやすいでしょう。
「ガァー」と濁った声で鳴く
ハシボソガラスは、「ガァー、ガァー」と少し濁った声で鳴くことが多いカラスです。
鳴くときには尾羽を開き、頭と尾を下げながら、体全体でお辞儀をするような動きを見せることがあります。
遠くにいてくちばしが見えない場合でも、鳴き声と体の動きからハシボソガラスだと分かることがあります。
ただし、鳴き方には個体差や状況による変化があります。声だけではなく、頭の形や周囲の環境も合わせて確認しましょう。
地面を歩きながら餌を探す
ハシボソガラスは、地面を歩きながら餌を探す姿がよく見られます。
貝を空中から落として割ったり、道路にクルミを置き、車にひかせて割ったりする行動も知られています。
身近な環境にあるものを利用して、食べ物を手に入れているのです。
ハシブトガラスとハシボソガラスの違いや見分け方

2種類を見分けるときは、ひとつの特徴だけで判断せず、いくつかの違いを組み合わせるのがポイントです。
くちばしとおでこの形を見る
最も分かりやすいのは、くちばしとおでこの形です。
ハシブトガラスは、太く湾曲したくちばしと、盛り上がったおでこをしています。
ハシボソガラスは、くちばしが比較的細く、おでこから頭にかけての形がなだらかです。
近くで横顔を見られる場合は、まずこの違いに注目してみましょう。
鳴き声と鳴く姿勢を見る
代表的な鳴き声は、次のように異なります。
- ハシブトガラス:澄んだ「カァー、カァー」
- ハシボソガラス:濁った「ガァー、ガァー」
ハシブトガラスは喉を膨らませて頭を前に出すように鳴き、ハシボソガラスは頭や尾を下げ、お辞儀をするように鳴く傾向があります。
鳴き声には例外もあるため、鳴いているときの姿勢も一緒に見てみましょう。
見かけた場所から考える
見かけた場所も、種類を考える手がかりになります。
街中や木の多い公園などで見かけた場合はハシブトガラス、田畑や河川敷などの開けた場所で見かけた場合はハシボソガラスの可能性が高くなります。
ただし、両種が暮らす場所は重なっています。
場所だけで決めつけず、くちばし、頭の形、鳴き声をまとめて確認するのがおすすめです。
日本にはほかの種類のカラスもいる?
日本では、ハシブトガラスとハシボソガラス以外のカラスも見られます。
冬になると農耕地などに大きな群れで渡来するミヤマガラスや、その群れに混じることがある小型のコクマルガラスがいます。
北海道東部や北部では、冬鳥としてワタリガラスが少数見られることもあります。
また、カラス科という広い分類では、カケスやオナガ、カササギ、ホシガラスなどもカラスの仲間です。
黒一色ではない種類も多く、見た目や暮らしている場所は大きく異なります。
つまり、「日本のカラスは2種類」ではなく、身近でよく見かける大きな黒いカラスが、主にハシブトガラスとハシボソガラスということです。
身近なカラスを観察してみよう

カラスは身近な鳥ですが、行動をじっくり見ていると、興味深い姿を見せてくれることがあります。
私も以前、少し離れた場所から1羽のカラスを観察していました。
すると、そのカラスは通行人と一定の距離を保ちながら、ずっと後をついていました。
遊んでいたのか、食べ物を持っていると思ったのか、それとも別の理由があったのかは分かりません。
相手の様子をうかがうように、距離を保ってついていく姿が面白く、印象に残っています。
カラスを見かけたら、種類だけでなく、歩き方や食べ物の探し方、人との距離の取り方なども観察してみてください。
ただし、繁殖期の親鳥は巣やヒナを守るために警戒が強くなります。近づきすぎたり、巣を長時間見続けたりせず、少し離れた場所から観察しましょう。
まとめ
私たちの身近でよく見られるカラスは、主にハシブトガラスとハシボソガラスです。
ハシブトガラスは、太いくちばしと盛り上がったおでこが特徴で、街中や森林など幅広い環境で見られます。
ハシボソガラスは、細めのくちばしとなだらかな頭を持ち、田畑や河川敷などの開けた場所を好みます。
見分けるときは、くちばしや頭の形だけでなく、鳴き声、鳴くときの姿勢、見かけた場所にも注目してみましょう。
身近すぎて見過ごしがちなカラスですが、じっくり観察すると、種類ごとの特徴や面白い行動が見えてきます。

