冬眠する動物は?日本で見られる代表的な動物一覧と冬の過ごし方

草地でこちらを警戒するツキノワグマの幼獣

冬眠する動物といえば、クマを思い浮かべる人が多いかもしれません。

日本にはクマ以外にも、ニホンヤマネ、シマリス、ニホンアナグマ、コウモリの仲間など、冬眠して寒い季節を乗り切る動物がいます。

ヘビやカメ、カエルなども、寒くなると活動を大きく減らして冬を越します。

一方、同じリスの仲間でも、シマリスは冬眠するのに、ニホンリスやエゾリスは冬眠しません。

この記事では、日本で見られる野生動物を中心に、どんな動物が冬眠するのか、冬眠しない動物はどうやって冬を過ごしているのかを紹介します。

目次

冬眠する動物一覧|日本で見られる代表例

栃木の森林で撮影したツキノワグマ。草むらの中からこちらを警戒している野生個体

日本で冬眠する代表的な動物には、次のような種類がいます。

  • 哺乳類:ツキノワグマ・ヒグマ、ニホンヤマネ、シマリス、ニホンアナグマ、冬眠するコウモリ類
  • 爬虫類:ヘビ類、カメ類
  • 両生類:カエル類、一部のサンショウウオ・イモリ

昆虫も冬になると活動を休むものが多くいますが、昆虫の場合は「冬眠」よりも「休眠」や「越冬」という言葉がよく使われます。

また、冬眠の仕方は動物によって違います。

クマとシマリスでも冬眠中の体の状態は違いますし、ヘビやカエルは気温が下がることで活動しにくくなります。

同じ種類でも、住んでいる地域によって冬眠する期間が変わることもあります。

そもそも冬眠とは?

冬眠は、ただ長い時間眠っているだけではありません。

食べ物が少なくなる冬を乗り切るため、体の働きを抑えて、できるだけエネルギーを使わずに過ごす方法です。

動物はなぜ冬眠する?

冬は気温が下がるだけでなく、木の実や昆虫などの食べ物も少なくなります。

寒い中で普段と同じように活動すれば、多くのエネルギーが必要です。

そこで一部の動物は、体温や呼吸、心拍数などを下げて、消費するエネルギーを少なくします。

冬眠は、食べ物の少ない厳しい冬を生き抜くための方法のひとつです。

冬眠中でも途中で目を覚ます動物がいる

冬眠に入ったら、春まで一度も目を覚まさないとは限りません。

シマリスは冬眠の途中で目を覚まし、巣穴に蓄えておいた木の実などを食べます。

コウモリにも、冬眠中に途中で目を覚ます種類がいます。

冬眠の仕方は、動物によってかなり違います。

日本で冬眠する哺乳類

日本では、クマ、ニホンヤマネ、シマリス、ニホンアナグマ、コウモリの仲間などが冬眠します。

ツキノワグマ・ヒグマ

草むらに現れたツキノワグマ 栃木県の山林で遭遇した野生のクマ

ツキノワグマとヒグマは冬眠します。

秋になると食べ物を多く食べて脂肪を蓄え、寒くなると穴などに入って冬を過ごします。

ツキノワグマでは、樹洞や岩穴、木の根元などが冬眠場所として使われます。

クマの冬眠は、ヤマネやシマリスなど小さな動物の冬眠とは少し違い、体温がそれほど大きく下がりません。

冬眠中のメスが子どもを産むこともあります。

私が以前働いていた雪の多い地域でも、春から秋までは周辺でクマの目撃がありましたが、11月後半になると目撃情報がほとんど聞かれなくなりました。

ただし、すべてのクマが同じ日に冬眠へ入るわけではありません。

地域やその年の気候、食べ物の状況、個体によって時期は変わり、冬でも活動しているクマがいます。

「冬だからクマはいない」と考えないことも大切です。

ニホンヤマネ

ヤマネイラスト

ニホンヤマネも冬眠する動物です。

日本だけに生息する小さな哺乳類で、本州・四国・九州に分布しています。

寒い地域では冬眠期間が長く、本州中部より北では6〜7か月ほど冬眠することもあります。

ただし、同じニホンヤマネでも地域によって大きな差があります。

長崎県では冬眠期間が2〜3か月ほど、鹿児島県の大隅半島では20日未満だった例が確認されています。

つまり、ニホンヤマネは冬眠する動物ですが、日本全国で同じ期間眠っているわけではありません。

暖かい地域ほど、冬でも活動できる期間が長くなることがあります。

シマリス

シマリスイラスト

シマリスは冬眠します。

日本では、北海道に在来のエゾシマリスが生息しています。

秋になると木の実や種子などを集め、巣穴に蓄えて冬に備えます。

冬眠中にも途中で目を覚まし、貯めておいた食べ物を利用します。

ここで注意したいのが、すべてのリスが冬眠するわけではないことです。

ニホンリスやエゾリスは冬眠しません。

ニホンリスは木の実や種子などを隠しておき、食べ物が少なくなる冬に利用します。

北海道のエゾリスも冬眠せず、雪が積もった真冬でも活動します。雪を掘って、秋に隠しておいた食べ物を探すこともあります。

同じリスの仲間でも、冬の過ごし方はかなり違います。

ニホンアナグマ

林縁で苔むした地面を歩きながら餌を探すアナグマ

ニホンアナグマも冬眠します。

地下に作った巣穴などで冬を過ごし、寒い地域では冬の間ほとんど外へ出なくなります。

ただし、アナグマも地域によって冬眠期間が違います。

多摩地域では12〜2月に冬眠することが確認されていますが、鹿児島では冬の途中にも外へ出て活動する例があります。

そのため、ニホンアナグマは冬眠するものの、暖かい地域では冬眠期間が短くなることがあります。

コウモリ類

暗渠で寄り添う二ホンウサギコウモリ

日本には、冬眠するコウモリが複数います。

ニホンキクガシラコウモリ、コキクガシラコウモリ、ユビナガコウモリなどでは冬眠が確認されています。

洞窟など、外の気温が変わりにくい場所で冬を過ごす種類もいます。

ただし、コウモリは種類によって冬の過ごし方が違うため、「日本のコウモリはすべて冬眠する」とは言えません。

なかでも変わっているのがコテングコウモリです。

日本では、コテングコウモリが雪の中で冬眠することも確認されています。

コウモリというと洞窟で冬を過ごすイメージがありますが、実際には種類によって冬眠場所も違います。

ヘビ・カメ・カエルも冬眠する?

哺乳類だけでなく、ヘビやカメ、カエルなども冬になると活動を大きく減らします。

一般的には、こうした状態も「冬眠」と呼ばれます。

ただし、クマやシマリスなどとは冬を越す仕組みが違います。

ヘビ

苔むした岩場を進むアオダイショウ

日本のヘビも寒くなると冬眠します。

アオダイショウやシマヘビなども、寒さを避けられる場所で冬を越します。

地中や岩の隙間などを利用することがあります。

ただし、冬でも暖かい日には一時的に活動することがあるため、「冬眠中なら絶対にヘビは出てこない」とは限りません。

私自身も野外でヘビを探しますが、春から秋と比べると、寒くなった冬は地表で姿を見る機会が一気に少なくなります。

カメ

日向ぼっこするミシシッピアカミミガメ
ミシシッピアカミミガメ

日本に生息するカメにも冬眠する種類がいます。

ニホンイシガメ、クサガメ、ニホンスッポンなどは、寒くなると活動が鈍くなり冬眠します。

自然の中では、水中の落ち葉の下などに潜って冬を越すことがあります。

暖かい日には一時的に姿を見せることもあり、冬の間ずっとまったく動かないとは限りません。

カエル

苔むした地面にいるアズマヒキガエル

カエルも冬眠します。

ただし、冬を越す場所は種類によって違います。

例えば、栃木県などにも生息するトウキョウダルマガエルでは、地中で越冬することが確認されています。

「カエルは冬になると全部池の底へ潜る」と考えるのではなく、種類によって冬を過ごす場所が違うと考えた方が正確です。

サンショウウオ・イモリ

池で捕獲したイモリ

サンショウウオやイモリの仲間にも、冬眠・越冬する種類がいます。

エゾサンショウウオでは冬眠する時期があり、アカハライモリでも自然の中で冬眠することが知られています。

ただし、すべての種類が同じ方法で冬を過ごすわけではありません。

種類によっては冬の時期にも移動するものがいるため、サンショウウオやイモリについては「種類によって冬の過ごし方が違う」と考えるのが分かりやすいでしょう。

昆虫も冬眠する?

壁につくクサギカメムシ

昆虫も寒くなると活動を休むものがたくさんいます。

ただし、昆虫の場合は「冬眠」よりも、休眠越冬という言葉がよく使われます。

冬を越す姿も種類によって違います。

卵で冬を越すものもいれば、幼虫、蛹、成虫の状態で冬を越すものもいます。

例えば、家へ入り込みやすいクサギカメムシは成虫で越冬します。

私の家でも、秋になると毎年かなりの数のカメムシが入り込みます。

冬になると姿を見る機会は減りますが、いなくなったわけではありません。建物の隙間などに潜み、暖かくなると再び出てくる個体もいます。

冬眠しない動物は冬をどう過ごす?

日光の雪の森で出会ったニホンジカのオス

日本には、冬眠せずに寒い季節を乗り切る動物もたくさんいます。

冬毛や脂肪で寒さを乗り切る

ニホンジカなどは、寒くなると密な冬毛に生え替わります。

秋のうちに脂肪を蓄えて冬に備える動物もいます。

私自身、栃木の山では冬でもニホンジカやニホンカモシカを何度も見ています。

雪が積もると、姿が見えなくても足跡から動物が冬も活動していることが分かります。

冬でも餌を探して活動する

タヌキ、ニホンジカ、ニホンカモシカ、ニホンザルなどは冬眠しません。

食べ物が少なくなる冬でも、その季節に利用できる食べ物を探しながら活動します。

ニホンザルでは、寒い日に仲間同士で体を寄せ合う姿も知られています。

冬の森が静かだからといって、動物がすべて眠っているわけではありません。

食べ物を蓄えて冬を乗り切る

ニホンリスやエゾリスも冬眠しない動物です。

秋のうちに木の実などを隠しておき、食べ物が少なくなる冬に利用します。

シマリスのように冬眠するリスもいれば、ニホンリスやエゾリスのように冬も活動するリスもいます。

冬眠する時期は動物によって違う

冬眠する時期は、すべての動物で同じではありません。

さらに同じ種類でも、地域や気候、食べ物の状況などによって冬眠に入る時期や目覚める時期が変わります。

ツキノワグマでは、多くの個体が晩秋から冬にかけて冬眠へ入り、春になると活動を再開します。

ニホンヤマネのように、寒い地域では半年ほど冬眠する一方、暖かい地域では冬眠期間がかなり短くなる動物もいます。

そのため、「12月になればこの動物は必ず冬眠している」と一律には考えない方がいいでしょう。

冬眠する動物についてよくある疑問

リスは冬眠する?

リスの仲間すべてが冬眠するわけではありません。

シマリスは冬眠しますが、ニホンリスやエゾリスは冬眠せず、冬も活動します。

クマは本当に冬眠する?

クマは冬眠します。

「冬ごもり」と呼ばれることもありますが、現在は冬眠する動物として扱われています。

ただし、小型の冬眠動物と比べると体温の低下が小さいなど、冬眠の仕方には違いがあります。

冬眠中は一度も起きない?

動物によります。

シマリスや一部のコウモリなど、冬眠の途中で目を覚ます動物もいます。

冬眠しているからといって、春までずっと眠り続けているとは限りません。

鳥も冬眠する?

日本で身近に見られる野鳥は、基本的に冬眠しません。

暖かい地域へ移動する鳥もいれば、日本に残って冬を過ごす鳥もいます。

世界には冬眠することで知られる非常に珍しい鳥もいますが、一般的な鳥の冬越し方法ではありません。

冬眠する動物も冬眠しない動物も、それぞれの方法で冬を乗り切る

日本では、クマ、ニホンヤマネ、シマリス、ニホンアナグマ、コウモリの仲間などが冬眠します。

ヘビやカメ、カエルなども、寒くなると活動を大きく減らして冬を越します。

一方、ニホンリスやエゾリス、ニホンジカ、ニホンカモシカ、ニホンザルなどは冬眠しません。

冬毛に変わる、食べ物を蓄える、寒い中でも餌を探すなど、動物ごとに違う方法で冬を乗り切っています。

冬の森は生き物が少ないように見えますが、眠っている動物もいれば、雪の中を歩き回っている動物もいます。

動物が冬をどう過ごしているのかを知ると、冬の野生動物を見る楽しみも少し変わってきます。

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