冬になると草は枯れ、木の実や昆虫も少なくなります。
雪が積もる地域では地面まで隠れてしまいますが、シカやカモシカ、サル、キツネなど、多くの動物は冬でも活動しています。
では、食べ物の少ない冬に何を食べているのでしょうか。
野生動物は、木の枝や樹皮、冬芽、ササ、木の実、種子、小動物など、冬でも手に入る食べ物を利用しながら暮らしています。
鳥も同じで、木の実や種子を食べる種類もいれば、冬でも昆虫や魚、小動物を探して食べる種類もいます。
ここでは、日本で見られる哺乳類と鳥を中心に、冬に何を食べているのかを紹介します。
冬になると動物の食べ物はどう変わる?

冬は、春から秋まで利用できた食べ物が少なくなる季節です。
草は枯れ、落葉樹は葉を落とし、昆虫の姿も少なくなります。
雪の多い地域では、地面にある植物まで雪に覆われてしまいます。
そこで野生動物は、
- 冬でも残るササや常緑植物
- 木の枝や樹皮、冬芽
- 秋から残った木の実や種子
- 地面や雪の下に残っている食べ物
- ネズミなどの小動物
など、その時期に利用できる食べ物を探します。
ただし、同じ動物でも地域によって冬の食べ物は違います。
雪の多い地域と少ない地域では、冬に利用できる植物や食べ物そのものが違うためです。
哺乳類は冬に何を食べる?
冬眠しない哺乳類は、寒い季節も食べ物を探して活動しています。
ニホンジカは冬に何を食べる?

ニホンジカは冬になると、ササや木の枝、樹皮、常緑植物などを利用します。
特に雪の深い地域では、地面の草が雪に隠れてしまうため、雪の上に出ている枝や樹皮も大切な食べ物になります。
一方、暖かく雪の少ない地域では、冬でも常緑広葉樹などを食べることがあります。
そのため、シカが冬に何を食べるかは、地域や積雪量によってかなり変わります。
私自身も雪のある場所でシカを見ることがあります。
一面真っ白な場所にいると「何を食べているんだろう」と思いますが、周囲には枝やササなど、冬でも利用できる植物が残っています。
ニホンカモシカは冬に何を食べる?

ニホンカモシカも冬眠せず、冬でも植物を食べながら暮らします。
冬芽や、その時期にも利用できる植物などが食べ物になります。
地域によっては、冬でも緑の葉を残すシダを好んで食べることも確認されています。
カモシカはシカと同じ草食動物ですが、いつも同じ植物を選んでいるわけではありません。
私もカモシカを山の急斜面などで何度も見ていますが、冬でもその場所に残っている植物を利用しながら生活しています。
ニホンザルは冬に何を食べる?

ニホンザルも冬眠しません。
食べ物が豊富な季節とは違い、冬には冬芽や樹皮、ササ、残った果実や種子などを利用します。
雪の多い上高地では、冬のニホンザルが水生昆虫などを利用していることも分かっています。
ただし、これは地域による違いが大きく、日本全国のニホンザルが同じものを食べているわけではありません。
その土地で冬でも手に入る食べ物を探しながら暮らしています。
イノシシは冬に何を食べる?

イノシシは雑食性ですが、食べ物は植物質が中心です。
冬には植物の根や地下茎、地面に残っているドングリなどを利用します。
動物質を食べることもありますが、冬の食べ物として特に重要なのは、地面や地中に残っている植物です。
イノシシが鼻で地面を掘り返していることがありますが、これは土の中にある根や地下茎などを探しているためです。
地上から見ると何もないような場所でも、地面の下には食べられるものが残っています。
タヌキは冬に何を食べる?

タヌキはかなり幅広いものを食べる雑食動物です。
冬でも果実や種子、小動物、鳥など、その場所で手に入りやすいものを利用します。
そのため、
「タヌキは冬になるとこれだけを食べる」
とは言えません。
果実が多く残っている場所では果実や種子を利用し、小動物を捕まえやすい場所では動物質の食べ物も利用します。
季節や場所に合わせて食べ物を変えられることが、タヌキの強みの一つです。
キツネは冬に何を食べる?

キツネも冬眠せず、寒い季節も獲物を探して活動します。
ネズミなどの小型哺乳類や鳥などを食べるほか、果実や昆虫を利用することもあります。
冬になると昆虫や果実は少なくなりますが、ネズミなどの小動物までいなくなるわけではありません。
北海道のキタキツネでは、雪の下にいるネズミの動きを察知し、雪へ飛び込むようにして捕まえることもあります。
真っ白な雪原でも、その下には獲物が暮らしています。
リス類は冬に何を食べる?

ニホンリスやエゾリスなどのリス類は木の実や種子などを食べます。
そしてリスには、ほかの動物とは少し違った冬への備えがあります。
秋に木の実などを土や落ち葉の下へ隠しておき、食べ物が少なくなる冬に掘り出して利用します。
つまり、
冬になってから食べ物を探すだけでなく、秋のうちから冬の準備をしている動物です。
鳥は冬に何を食べる?

冬でも多くの鳥が活動しています。
鳥の場合も種類によって食べ物は大きく違い、木の実や種子を食べる鳥もいれば、冬でも昆虫や魚、小動物を捕まえる鳥もいます。
木の実や果実を食べる鳥
冬の森や公園では、木に残った果実が大切な食べ物になります。
ツグミ、ヒヨドリ、シロハラ、レンジャク類などは、木の実や果実をよく利用します。
冬に赤い実のなる木へ鳥が集まっていることがありますが、そこが貴重な食事場所になっているのです。
種子を食べる鳥
草が枯れたあとにも、植物の種子は残っています。
アトリ類やホオジロ類、カワラヒワなどは、地面や枯れた植物に残った種子を探して食べます。
ヤマガラのように、木の実を隠して後から利用する鳥もいます。
リスと同じように、鳥の中にも食べ物を蓄えておく種類がいます。
冬でも昆虫を食べる鳥
冬になると虫がいなくなったように見えますが、すべての昆虫が消えるわけではありません。
樹皮の隙間や木の中では、昆虫や幼虫が冬を越しています。
コゲラなどのキツツキ類は、木の中にいる昆虫や幼虫を探して食べます。
シジュウカラなどの小鳥も冬に昆虫を利用しますが、虫が少なくなる時期には木の実や種子なども食べます。
葉が落ちた冬の森で、小鳥が枝や幹を細かく移動していたら、食べ物を探しているところかもしれません。
魚や小動物を食べる鳥
川や湖では、冬でも魚を食べる鳥がいます。
カワウやカワセミ、オオワシなどは魚を捕まえて食べます。
一方、草原や農地ではノスリなどの猛禽類がネズミや小鳥などを狙います。
植物が少なくなる冬でも、魚や小動物を食べる鳥には別の食料があります。
雪が積もると動物はどうやって食べ物を探す?

雪の多い地域では、食べ物が少なくなるだけでなく、地面まで雪に覆われます。
それでも動物たちは、それぞれ違った方法で食べ物を探します。
木の枝や冬芽を食べる
シカやカモシカは、雪より上に残っている木の枝や冬芽、常緑植物などを利用します。
地面の草が雪に隠れれば、冬でも利用できる植物へ食べ物を切り替えます。
地面や雪を掘る
イノシシは鼻を使って地面を掘り、植物の根や地下茎などを探します。
雪が積もっていても、その下まで食べ物がなくなっているわけではありません。
雪の下にいる獲物を探す
ネズミなどの小型哺乳類は、冬でも雪の下で活動しています。
キツネや猛禽類にとって、こうした小動物は冬でも重要な食べ物です。
一面雪に覆われているように見えても、その下ではさまざまな生き物が活動しています。
秋に蓄えた食べ物を利用する
リスなどは秋に木の実を貯めておき、冬になると掘り出して利用します。
食べ物の多い季節に準備しておくことで、食料が少なくなる冬を乗り越えています。
冬眠する動物は冬に何も食べない?
すべての動物が冬も食べ物を探して活動しているわけではありません。
冬眠して活動量や代謝を大きく落とし、冬を乗り越える動物もいます。
ただし、冬眠の仕方は動物によって違うため、**「冬眠する動物はすべて冬の間まったく食べない」**と一括りにはできません。
今回紹介したシカ、カモシカ、ニホンザル、キツネ、リスなどは、冬でも活動しながら食べ物を探します。

冬の野生動物に餌をあげてもいい?
冬の野生動物を見ると、食べ物が少なくてかわいそうに見えることがあります。
しかし、野生動物へ安易に餌を与えるのは避けましょう。
人から食べ物をもらえることを覚えると、人里へ近づいたり、人の食べ物に依存したりする原因になります。
冬でも野生動物は、その環境にある食べ物を探しながら暮らしています。
餌を与えるのではなく、少し離れた場所から自然な姿を観察するのがおすすめです。
まとめ
冬は、野生動物にとって食べ物が少なくなる季節です。
それでも、食べるものが完全になくなるわけではありません。
シカはササや枝、樹皮を利用し、サルは冬芽や樹皮などを食べます。
キツネは小動物を捕まえ、リスは秋に蓄えておいた木の実を利用します。
鳥も木の実や種子を食べたり、冬でも昆虫や魚、小動物を探したりしながら暮らしています。
食べ物を変える。雪や地面の下から探す。秋のうちに蓄える。冬眠する。
冬の乗り越え方は、動物によってさまざまです。
雪に覆われた森を見ると何も食べるものがないように見えますが、その中でも動物たちは冬に利用できる食べ物を見つけながら生活しています。

