冬になると、夏にあれほど見かけた虫が一気に少なくなります。
「冬の虫はどこにいるんだろう?」と思いますが、すべての虫がいなくなったわけではありません。
落ち葉の下や土の中、朽木、木の隙間など、寒さや風を避けられる場所で春を待っている虫がたくさんいます。
しかも、成虫のまま隠れているとは限りません。
卵、幼虫、蛹、成虫。
昆虫によって冬を越す姿も違います。
冬の虫はどこにいる?

冬の虫は、夏とは探す場所が変わります。
花や樹液の周りではなく、寒さや風を避けやすい場所に目を向けてみましょう。
よく見つかるのは、
- 落ち葉の下
- 土や腐葉土の中
- 朽木や木の隙間
- 常緑樹の葉の裏や草むら
- 家や建物の隙間
- 池や川などの水中
といった場所です。
例えば、カブトムシは幼虫の姿で腐葉土などの中にいます。
ゴマダラチョウの幼虫は、食草となるエノキの根元に積もった落ち葉などで冬を越します。
ウラギンシジミは成虫のまま、常緑樹の葉の裏にじっと止まって冬を越します。
水の中にも虫はいます。
トンボの仲間には、ヤゴの姿で池や川などの水中で冬を越すものがいます。
そして、人の家を冬越しの場所にする虫もいます。
代表的なのがカメムシの仲間です。
私が暮らしている古い家でも、秋になると毎年かなりの数のカメムシが入ってきます。
寒くなるとほとんど姿を見なくなりますが、暖かくなった日に突然室内へ出てくることがあります。

冬は虫がいなくなったように見えますが、見えない場所に隠れている虫が多いのです。
昆虫はどんな姿で冬を越す?

昆虫の冬の過ごし方は一般に「越冬」と呼ばれます。
種類によっては活動や成長を抑えた休眠状態に入り、寒い季節を乗り切ります。
面白いのは、すべての昆虫が同じ姿で冬を越すわけではないことです。
卵で冬を越す
オオカマキリやハラビロカマキリなどは、卵で冬を越します。
秋に産みつけられた卵は「卵鞘(らんしょう)」という塊に包まれ、そのまま冬を越します。
葉が少なくなる冬は、草の茎や木の枝についている卵鞘が意外と目立ちます。
成虫のカマキリはいなくても、次の世代はすでに春を待っています。
幼虫で冬を越す
カブトムシは幼虫で冬を越します。
夏に見かけた成虫は姿を消しても、次の世代は土や腐葉土の中で育っています。
クワガタも幼虫で冬を越す種類が多く、種類によっては成虫のまま冬を越すものもいます。
▶ カブトムシ・クワガタ採集ガイド|時期・場所・時間帯と捕まえ方
蛹で冬を越す
チョウやガの中には、蛹の姿で冬を越す種類もいます。
例えばナミアゲハは、蛹で冬を越すことがあります。
寒い時期は蛹のまま発育を抑え、春の暖かさを待ちます。
成虫で冬を越す
成虫の姿のまま冬を越す昆虫もいます。
身近なところでは、
- ナミテントウなどのテントウムシ
- カメムシの仲間
- ウラギンシジミ
- キタテハ
- ツチイナゴ
などです。
ツチイナゴは、バッタの仲間では珍しく成虫で冬を越します。
成虫で越冬する虫も、冬中ずっと動き回っているわけではありません。
草むらや葉の裏、建物の隙間などでじっとしていて、暖かい日には動き出すことがあります。
冬でも活動する虫はいる

冬の虫がすべて隠れて春を待っているわけではありません。
冬だからこそ成虫が見つかる昆虫もいます。
代表的なのがフユシャクです。
フユシャクは、冬に成虫が現れるガの仲間です。
私も冬にフユシャクを探したことがあります。
ガというと夜に飛んでいるイメージがありますが、種類によっては昼間に飛ぶフユシャクもいます。
私が探したときも、昼間に飛んでいる個体を意外と見かけました。
例えばクロスジフユエダシャクのオスは、冬の昼間に雑木林の低いところを飛ぶことがあります。
夏なら小さなガが飛んでいてもそれほど気になりませんが、虫がほとんど飛んでいない冬の森では逆に目につきます。
ほかにも、成虫で冬を越すツチイナゴやチョウの仲間などが、暖かい日に動いていることがあります。
冬だから虫がまったくいないわけではありません。
探す場所やタイミングが夏とは違うだけです。
冬の虫を探してみよう
冬は、虫を探すには意外と面白い季節です。
夏のように飛び回る虫を追いかけるのではなく、隠れている場所を探します。
特に見てみたいのは、
- 落ち葉:裏側や積もった落ち葉の中
- 木の幹:樹皮の隙間
- 朽木:表面や隙間
- 常緑樹:葉の裏
- 草むら:枯れ草の根元
- 石や人工物:下や隙間
などです。
カマキリの卵鞘のように、冬のほうが見つけやすいものもあります。
フユシャクを探すなら、冬の雑木林も面白い場所です。
少し暖かい昼間なら、林の中を飛んでいる個体に出会えるかもしれません。
ただし、冬を越している虫は春まで生き延びるためにじっとしています。
虫を探すために樹皮を無理にはがしたり、朽木を壊したりするのは避けましょう。
石や落ち葉を動かした場合も、観察したら元の場所へ戻します。
「飛んでいる虫を探す」から「隠れている虫を探す」に変える。
それだけで、冬の森でも意外といろいろな昆虫が見えてきます。
まとめ|冬の虫は見えない場所で春を待っている
冬になると、虫がいなくなったように感じます。
しかし実際には、落ち葉の下や土の中、朽木、葉の裏、建物の隙間、水の中など、さまざまな場所で冬を越しています。
その姿も、
- 卵で越冬するカマキリの仲間
- 幼虫で越冬するカブトムシ
- 蛹で越冬するナミアゲハなど
- 成虫で越冬するカメムシやツチイナゴ
とさまざまです。
さらに、フユシャクのように冬だからこそ探せる昆虫もいます。
夏とは少し目線を変えて、落ち葉や木の幹、葉の裏などを探してみてください。
冬の森でも、虫たちはちゃんと生きています。

