バードウォッチングを始めてみたいなら、私は冬をおすすめします。
春や夏の林では、すぐ近くで鳥が鳴いているのに、葉に隠れて姿が見えないことがよくあります。
冬になると落葉樹の葉が落ち、鳥の姿を探しやすくなります。
さらに池や湖などの水辺では、秋から冬にかけて渡ってくるカモ類なども観察できます。
そして最初から、珍しい鳥を探しに山へ行く必要はありません。
まずは近くの公園へ行って、そこにいる鳥を見る。
これで十分です。
私自身、山や湿地などいろいろな場所で野鳥を観察していますが、これから始める人には公園がおすすめです。
特に池と木の多い場所が両方ある公園なら、水辺の鳥と小鳥の両方を探せます。
この記事では、冬に初めてバードウォッチングをする人向けに、どこへ行けばいいのか、何を見ればいいのか、鳥を見つけるコツまで紹介します。
冬はバードウォッチング初心者におすすめ

冬が初心者に向いている理由のひとつが、鳥の姿を見つけやすいことです。
木の葉が落ちて小鳥を探しやすい
春から夏は木々の葉が茂ります。
鳴き声は近くから聞こえる。
でも、どこにいるのか分からない。
野鳥を探していると、こんなことがよくあります。
冬になると落葉樹の葉が落ちるため、枝の間を移動する小鳥や、枝先に止まった鳥を見つけやすくなります。
初心者にとって「自分で鳥を見つけられる」というのはかなり大事です。
何も見つからないまま歩き続けるより、一羽でも自分で見つけられると一気に面白くなります。
水辺ではカモ類を観察しやすい
秋から冬になると、日本へ渡ってくるカモ類が各地の池や湖、河川などで見られるようになります。
小鳥は枝から枝へ素早く移動しますが、水面にいるカモ類は比較的追いやすく、初心者でもじっくり観察できます。
最初は種類が分からなくても問題ありません。
「頭が緑色のカモがいる」
「白黒の鳥が混じっている」
「同じように見えるけど模様が違う」
そんなところから始めれば十分です。
冬鳥が渡ってくる時期は、種類や地域、その年によって変わります。

初心者なら、まず公園へ行こう

山にいる鳥を探しに行くのも楽しいですが、初めてなら私は公園をおすすめします。
できれば、
- 池や水辺がある
- 周囲に木や林がある
- 歩きやすい道がある
こんな公園が探しやすいです。
都市部の大きな公園でも構いません。
「野鳥を見るなら山へ行かなければいけない」と考える必要はありません。
公園にもカモ類、小鳥、ツグミ類など、さまざまな鳥がやって来ます。
まず水辺を見てみる
池がある公園なら、最初に水面を見てみましょう。
秋から冬なら、カモ類を見つけられる可能性があります。
最初から双眼鏡を覗きながら探すのではなく、まず肉眼で水面全体を見ます。
鳥がいる場所を確認してから双眼鏡を使います。
一羽ずつ見ていくと、
「この鳥だけ色が違う」
「くちばしの形が違う」
「頭の模様が違う」
といったことに気づきます。
名前が分からなくても大丈夫です。
まずは違いに気づくところから始まります。
カモ類は小鳥より位置を確認しやすいため、双眼鏡を使う練習にも向いています。
林では小鳥の混群を探してみる
池を見たら、今度は木の多い場所を歩いてみましょう。
冬の林で、私が見つけやすいと感じるのが複数種類の小鳥が一緒に行動する混群です。
シジュウカラやヤマガラなどのカラ類だけでなく、エナガやコゲラなどが一緒に行動していることもあります。
一羽見つけたら、その鳥だけを追い続けず、周囲の枝にも目を向けてみてください。
別の種類が次々と見つかることがあります。
最初から一種類だけを狙うより、
小鳥の群れを見つけて、その中にどんな鳥がいるのかを見る。
そんな探し方もおすすめです。
冬に初心者でも見つけやすい鳥
最初から珍しい鳥を覚える必要はありません。
まずは身近で見つけやすい鳥から見ていきましょう。
カモ類

初心者に特におすすめです。
秋から冬の池や湖では複数の種類が一緒に見られることもあり、水面にいるため小鳥より観察しやすいです。
種類が分からなくても、
- 頭の色
- くちばしの色
- 体の模様
- 大きさ
などを見比べてみましょう。
「全部同じカモだと思っていたのに、よく見ると違う」
と気づくだけでも面白くなってきます。
シジュウカラなどの小鳥

林の中で数羽の小鳥が次々と枝を移動していたら、その周辺を少し見てみましょう。
一種類ではなく、複数種類の鳥が一緒に行動していることがあります。
シジュウカラを見ていたらエナガが現れたり、木の幹にはコゲラがいたりすることもあります。
小鳥そのものは動きが速いですが、群れに出会うと観察のチャンスが増えます。
ジョウビタキ

秋から冬の公園で見つけたい鳥のひとつです。
日本では主に冬鳥として見られ、特にオスはオレンジ色のお腹が目立ちます。
私も都市公園で観察したことがあります。
そのときは、こちらがじっとしているとかなり近くまで寄ってきた個体もいました。
すべての個体が人の近くまで来るわけではありませんが、見つけたからといって追いかけず、その場で静かに観察する方が自然な行動を見られることがあります。

ツグミ

冬になったら木の上だけでなく、芝生や草地など地面にも目を向けてみてください。
ツグミが地面を歩いたり跳ねたりしながら食べ物を探していることがあります。
初心者のうちは鳥を探そうとして上ばかり見てしまいがちですが、鳥は地面にもいます。
公園では、
- 水辺
- 木の枝や幹
- 芝生や地面
と見る場所を変えてみると、違う鳥を見つけやすくなります。
図鑑を見て鳥を探すのではなく、鳥を見てから図鑑を見る
これから野鳥を覚えたい人には、まず鳥を見てから図鑑を開く方法がおすすめです。
最初から図鑑を見て「今日はこの鳥を探そう」と決めるより、実際に出会った鳥をあとから調べる方が、私は覚えやすいと感じています。
たとえば池で、頭が緑色のカモを見つけたとします。
その鳥の色や模様を覚えておき、あとで図鑑を見て「これがマガモか」と確認する。
実際に自分の目で見た鳥なので、図鑑の写真だけで名前を覚えるより記憶に残りやすく、次に出会ったときも「あ、前に見た鳥だ」と気づけるようになります。
最初から何十種類も覚える必要はありません。
一回の観察で一種類覚える。
最初はそのくらいで十分です。
そうやって少しずつ、自分が知っている鳥を増やしていくのがおすすめです。
初心者にはポケット図鑑がおすすめ
野外へ持っていくなら、私はポケットサイズの野鳥図鑑がおすすめです。
大きな図鑑は詳しく調べるときには便利ですが、公園を歩きながら持ち歩くには少し大変です。
ポケット図鑑ならバッグに入れておき、
鳥を見る
↓
色や模様、大きさなどを覚える
↓
図鑑で確認する
という使い方ができます。
「何の鳥だったんだろう?」
と思ったときに、その場で確認できるのが便利です。
初心者なら、身近な日本の野鳥が分かりやすく掲載されているものを一冊持っておけば十分だと思います。
双眼鏡がひとつあれば、すぐに始められる
バードウォッチングは、たくさんの道具を揃えなくても始められます。
双眼鏡がひとつあれば、公園や池など身近な場所ですぐに野鳥観察を楽しめます。
もちろん肉眼でも鳥は見つけられますが、双眼鏡があると見える世界はかなり変わります。
肉眼では「枝に小さな鳥がいる」くらいしか分からなくても、双眼鏡を使えば、顔の模様や羽の色、くちばしの形など細かな特徴まで確認できます。
野鳥観察では8〜10倍程度の双眼鏡が使いやすいです。
私自身はコーワの8倍双眼鏡を長く使っています。
最初からカメラや高価な道具まで揃える必要はありません。
まずは双眼鏡をひとつ持って、近くの公園へ行ってみる。
それだけでも十分バードウォッチングを始められます。
安価なものでも大丈夫です。自分に合う双眼鏡を探してみましょう
初心者でも鳥を見つけやすくなる3つのコツ
鳥を探すときは、ただ歩き続けるより、少し意識するだけで見つけやすくなります。
まず肉眼で探す
初めて双眼鏡を使うと、双眼鏡を覗きながら鳥を探したくなります。
でも、双眼鏡を覗くと肉眼より見える範囲が狭くなります。
基本は、
肉眼で鳥を見つける
↓
鳥から目を離さない
↓
そのまま双眼鏡を目まで上げる
という順番です。
最初は鳥を双眼鏡の中に入れるだけでも難しく感じるかもしれません。
そんなときも、水面にいるカモ類なら位置を確認しやすく、練習しやすいと思います。
鳴き声や枝の動きに気づいたら止まる
公園をずっと歩き続けていると、意外と鳥を見落とします。
鳥の声が聞こえたり、枝の中で何かが動いたりしたら、一度止まってみてください。
すぐ姿が見えなくても、
「どの方向から聞こえたか」
「高い木なのか、低い場所なのか」
を確認しながら探します。
最初から鳴き声だけで種類を当てる必要はありません。
「近くに鳥がいる」と気づければ十分です。
木の上だけを探さない
初心者のうちは、鳥を探そうとすると木の枝ばかり見てしまいがちです。
でも、公園にはいろいろな場所に鳥がいます。
水面にはカモ類。
芝生や草地にはツグミなど。
木の幹にはコゲラなど。
枝や低木にも小鳥がいます。
さらに上空を鳥が飛んでいることもあります。
「鳥は木の上にいる」と決めつけず、いろいろな場所へ目を向けてみてください。
最初から珍しい鳥を狙わなくていい

SNSや図鑑を見ると、きれいな鳥や珍しい鳥を見に行きたくなるかもしれません。
もちろん、特定の鳥を目的に探しに行くのもバードウォッチングの楽しみです。
ただ、始めたばかりなら最初から珍しい鳥だけを狙う必要はありません。
その鳥が見つからなかっただけで、
「今日は何も見られなかった」
と思ってしまうからです。
実際には、その公園にシジュウカラがいたり、池にカモがいたり、芝生をツグミが歩いていたりするかもしれません。
私は最初のうちは、
「今日は何がいるかな」
くらいで歩く方がおすすめです。
そこで気になった鳥を見つけたら、図鑑で調べる。
次に出かけたときには、その鳥が少し分かるようになっている。
その繰り返しで十分です。
慣れてきたら公園以外にも行ってみよう
公園で鳥を探すことに慣れてきたら、少しずつ場所を広げてみるのも面白いです。
- 河川敷
- 湖や沼
- 湿地
- 海岸
- 森林
- 里山
環境が変われば、見られる鳥も変わります。
山の鳥を探すのも面白いですし、湿地や湖では公園とは違う水鳥などに出会えることもあります。
ただ、最初から広いフィールドへ行く必要はありません。
まず公園で、
鳥を見つける → 双眼鏡で見る → 図鑑で確認する
という流れに慣れてから、行く場所を広げていけば十分です。
冬鳥はいつから探せばいい?
「冬のバードウォッチングをしてみたいけど、何月から行けばいい?」
という人もいると思います。
冬鳥が日本へ渡ってくる時期は、種類によって違います。
地域による違いもあり、その年の渡来状況によって見られる時期や数が変わることもあります。
そのため、
「全国どこでも○月から冬鳥シーズン」
とは決められません。
秋から少しずつ冬鳥が渡来し、冬にかけて各地で越冬する鳥が見られるようになります。
種類ごとの目安はこちらで詳しく紹介しています。

野鳥を見るときに気をつけたいこと
鳥を見つけると、もっと近くで見たくなるものです。
ただ、こちらが近づいたときに鳥が逃げたり、警戒する様子を見せたりするなら、近づきすぎている可能性があります。
野鳥観察では、
- 鳥との距離を取る
- 鳥を追い回さない
- 営巣中の鳥や巣へ近づかない
- 鳴き声を流して呼び寄せない
- 餌を置いて呼び寄せない
- 公園や観察場所のルールを守る
- 住宅や人へ双眼鏡やカメラを向けない
といったことを意識したいところです。
写真を撮る場合も同じです。
「もう少し近くへ」と追いかけるより、距離を保ちながら、鳥が普段どおり行動している姿を見る方が私は面白いと思っています。
まとめ|まず近くの公園で一羽見つけてみよう
冬は、これからバードウォッチングを始めたい人におすすめの季節です。
最初は近くの公園へ行ってみてください。
水辺があればカモ類を見る。
林では小鳥の群れを探す。
芝生や地面にも目を向ける。
そして気になる鳥を見つけたら、ポケット図鑑で調べる。
それだけで十分です。
最初から鳥の名前をたくさん覚える必要も、珍しい鳥を探す必要もありません。
図鑑を見て鳥を探しに行くのではなく、鳥を見てから図鑑を見る。
「あの鳥は何だろう?」
と思って自分で調べた一羽の方が、私は記憶に残りやすいと思います。
一種類分かるようになると、次に公園へ行ったとき、その鳥が自然と目に入るようになります。
すると今度は、その近くにいる別の鳥が気になります。
そうやって少しずつ知っている鳥を増やしていけば十分です。
まずは近くの公園で、一羽見つけるところから始めてみてください。

