スズメは昔から人の暮らしのすぐ近くで見られる身近な鳥です。
電線や屋根の上、公園や田んぼの周辺など、ひと昔前まではどこでも見かける鳥という印象を持っていた人も多いのではないでしょうか。
しかし最近、「そういえばスズメをあまり見かけなくなった」と感じる人も増えています。
実際、スズメは全国的に減少傾向が報告されている鳥です。では、なぜ身近な鳥だったスズメが減っているのでしょうか。
スズメは本当に減っているの?

スズメは現在も全国に広く生息していますが、研究では減少傾向が示されています。
全国鳥類繁殖分布調査の比較では、スズメの分布状況に減少傾向が見られます。また、山階鳥類研究所の標識調査でも減少傾向が報告されています。
そのため、「昔よりスズメを見かけなくなった」という印象は、単なる気のせいではない可能性があります。
ただし、すべての地域で同じように減っているわけではありません。地域によって状況は異なり、都市部でも生息している場所はあります。
スズメを見かけなくなった主な理由

スズメが減った理由はひとつではありません。現在考えられている主な要因は次の通りです。
- 巣を作れる場所が減った
- 餌になる虫や草の種が減った
- 田んぼや空き地などの環境が変わった
それぞれ詳しく見ていきましょう。
理由① 巣を作れる場所が減った
スズメは建物の隙間や屋根の下、壁の穴などを利用して巣を作る鳥です。
昔の住宅には瓦屋根の下や軒下など、スズメが利用できる隙間が多くありました。
しかし近年の住宅は気密性が高く、隙間がほとんどありません。古い建物の建て替えも進み、スズメが繁殖できる場所は少なくなっていると考えられています。
巣作りの場所については、別の記事で詳しく紹介しています。
理由② 餌になる虫や草の種が減った
スズメは雑食性ですが、ヒナを育てる時期には昆虫が重要な餌になります。
ヒナは成長のために多くのタンパク質を必要とするため、親鳥は昆虫を集めて運びます。
都市化が進むと、草地や空き地が減り、昆虫が生息できる環境も少なくなります。
その結果、子育てに必要な餌を十分に確保できず、繁殖に影響する可能性があります。
複数の要因が重なっており、農薬だけが原因ではありません。
理由③ 田んぼや空き地などの環境が変わった
スズメは人の近くで暮らす鳥ですが、田んぼや畑、草地などの環境とも深く関わっています。
昔は住宅地の近くにも空き地や畑があり、餌を探したり身を隠したりする場所が豊富にありました。
しかし現在は、空き地が住宅や駐車場になり、草地も少なくなっています。
農地が残っていても、その周辺環境が変わればスズメにとって暮らしやすい場所とは限りません。
スズメは人間社会だけでなく、その周辺にある自然環境にも支えられている鳥なのです。
都市部でもまだ生息している

スズメは全国的に減少傾向がありますが、都市部から完全にいなくなったわけではありません。
公園や住宅街、駅前の植え込み、電線の上など、都市部でも見かけることはあります。
ただし、地域や環境によって見かける頻度には差があります。
田畑や草地が残る地域では比較的多く見られる一方、建物が密集した市街地では少なく感じることもあります。
スズメは今でも都市部に生息していますが、昔ほどどこでも当たり前に見られる鳥ではなくなってきているのかもしれません。
スズメは絶滅危惧種なの?
スズメは現在も全国各地で見られる鳥であり、すぐに絶滅するような状況ではありません。
公園や住宅地、農地などで観察することができます。
しかし、かつて当たり前だった鳥が減少していることは事実です。
身近な鳥だからこそ、その変化は私たちの周囲の環境が変わっているサインとも考えられます。
実際に観察して感じること

私の家の周りには、今でもスズメが多く生息しています。
住宅地の電線や庭先、近くの田んぼなどで見かけることが多く、朝になると鳴き声が聞こえてくることもあります。
一方で、以前東京に住んでいたときは、私が暮らしていた地域ではスズメを見かける機会が少ないと感じていました。
もちろん地域による違いはありますが、栃木のように田畑や草地が残る環境のほうが、スズメを見かける機会が多いように思います。
スズメは今でも全国に広く生息しています。しかし、巣を作る場所や餌を探す場所が十分に残っているかどうかで、見かける数は大きく変わるのかもしれません。
まとめ
スズメが見かけにくくなった理由はまだ完全には解明されていませんが、複数の要因が重なっていると考えられています。
- 巣を作れる場所が減った
- 餌になる虫や草の種が減った
- 田んぼや空き地などの環境が変わった
スズメは今でも身近な鳥ですが、昔と同じ環境で暮らしているわけではありません。
身近な鳥の変化に目を向けることで、私たちの周りの自然環境の変化にも気付くことができるのではないでしょうか。

